目次
積極財政って結局なに?一言でいうと…
「国の予算を家計簿と同じのように考えるのをやめて、人々の生活と供給能力を最優先してお金を使おうという立場」です。
古い常識:財政均衡論・緊縮財政
- 「国も家計と同じ。支出は税収の範囲内に」
- 税収を超えた分は国債=借金
- 累計1000兆円超の国の借金→ 「だから国はお金にガメつくケチになって増税と歳出削減をしなければならない(緊縮財政)」というロジック
しかしこれは、
「政府=お金を発行できる存在」である事実を無視して、国家財政を家計のように考える、“家計簿脳”の発想です。
新しい常識:税は財源ではなく、お金の“根拠”
ポイントは2つです。
- 円は自然に湧いてこない。最初に発行するのは政府
- 円という単位を決め、政府が発行して初めて税も徴収できる
→ 本来の「財源」は通貨発行であって、税ではない。
- 円という単位を決め、政府が発行して初めて税も徴収できる
- 現代は「債務貨幣システム」
- 銀行が貸し出すとき、お金は「無」から(+資産と-負債のペアとして)生まれる
- 政府も国債を発行し、それを銀行・日銀が引き受けることで同じ仕組みでお金を生み出している
だから、
- 国の借金=お金の発行記録
- 1000兆円の国債を「返す」と、同じ額だけ民間のお金が消える
→ 本気で完済を目指すと、円自体がほとんど消滅してしまいかねないのです。
新しい財政規律:プライマリーバランスではなく「インフレ率」
じゃあ、歯止めなしにいくらでも使っていいのか?
もちろんそうではありません。
- 物・サービスの生産量に対して、お金の支出が多すぎる → インフレ
- 少なすぎる → デフレ
そこで 「年2〜4%程度のインフレ率」を目標に、
財政と金融を調整するという発想になります。
- インフレ率が低すぎる(デフレ寄り)
→ 政府が財政赤字を出してでも支出を増やす=積極財政 - インフレ率が高すぎる
→ 増税や歳出抑制で需要を落とす=引き締め
財政均衡そのものを目標にするのではなく、
「インフレ率」を目安に、景気と雇用を安定させるのが新しい規律です。
いま日本は「デフレ・レジーム」である
高度成長期:
- 家計も企業も「借金してでも欲しい・投資したい」インフレ・レジーム
→ ここでは緊縮的な姿勢にも一定の合理性がありました。
しかし、インフラも耐久消費財も一巡し、少子高齢化も進んだ今は、
- 消費も投資も伸びない
- 民間の借金が増えず、お金の総量も増えない
→ 需要不足=デフレ・レジーム
本来ここで政府は、
「民間が使わない分、政府が積極的に支出して需要を下支えすべき」
だったのに、実際には
- 増税・歳出削減を繰り返し
- デフレを長期化させ
- 供給能力(人材・技術・研究・インフラ)を細らせてしまった、というのがこの30年です。
本当の財政制約は「供給能力」
インフレは、需要が供給能力を超えたときに起こります。
- 供給能力が大きければ、同じ需要でもインフレは起きにくい
- 供給能力が痩せ細っていれば、少し需要を増やしただけでインフレになってしまう
つまり、
- インフレ率が「直接の」財政規律
- そのインフレ率を左右しているのが、教育・研究・インフラ・人材などの供給能力
(余剰)供給能力こそ、実質的な「財源」だと言えます。
だからこそデフレ期は本来、
使われていない人材・設備を、政府支出でフルに活かし、
供給能力を維持しつつ、さまざまな財やサービスを生み出せた「ボーナスステージ」だったはず
積極財政とは、まさにこのステージを活用する政策です。
積極財政は「ヒューマニズム」である
緊縮財政:
- 「お金の帳尻合わせ」を最優先
- 人とモノが余った結果のデフレと賃金低下を通じて、人間の価値さえ「安く」してしまう
積極財政:
- お金そのものは政府にとって「つくれるもの=手段」にすぎないと捉えなおす
- 人間の生活・雇用・教育・インフラ、そして供給能力こそ守るべき中心とする
この意味で、
「積極財政はヒューマニズムである」
まとめ(完読用ワンポイント)
- 「国の借金が大変だから緊縮」は、国家財政を家計にたとえる家計簿脳の古い常識
- 政府は通貨発行者であり、財政規律はインフレ率と供給能力
- デフレ・レジームのもとにある日本で必要なのは、
供給能力を維持し、人間の生活を守るための積極財政
この「新しい常識」を共有できるかどうかが、
これからの日本社会の方向性を分ける、というのがこの記事のメッセージです。
こちらの記事はAIを活用して以下の記事を要約したものです。より詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
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