【3分要約】フェリックス・マーティン『21世紀の貨幣論』

目次

この本が言いたいことを一言でいうと?

お金の正体は「モノ」ではなく、譲渡可能な信用であり、その価値は常に政治によって決まってきた。

本書は、

  1. 貨幣の理論(信用貨幣論)
  2. 国家と銀行のマネー史
  3. そこから見える格差問題への対応策
    をコンパクトにまとめた一冊です。

理論編:貨幣は「モノ」ではなく「譲渡できる信用」

よくある「お金=金や銀などの貴金属」という商品貨幣論を、マーティンは批判します。

代わりに提示されるのが信用貨幣論です。
貨幣の本質は次の3つからなる「社会的技術」だとされます。

  1. 価値を図る抽象的な単位(円・ドルなど)
  2. 誰がどれだけ「貸し」「借り」を持つかを記録する会計システム
  3. その「貸し借り(信用)」を他人に譲り渡す譲渡性

誰かにツケで売ると「借用証書」が生まれます。
この借用証書が他人にも使い回せるようになったとき、それはマネーとして機能し始める──これが本書のコアアイデアです。

歴史編:国家 vs 銀行と「マネーの大和解」

この貨幣を巡って、歴史上では主に国家と銀行がせめぎ合ってきました。

  • 君主…貨幣の改鋳(量を増やす)でインフレを起こし、自分に有利な再分配を行う
  • 資産家・銀行…為替や金利を通じて、君主の恣意的な操作を牽制する

この長い闘いは、イングランド銀行の創設(1694年)という妥協で決着します。
国家が国債を発行し、銀行がそれを引き受けるかわりに、銀行には国家の信用が与えられる──これがマーティンのいう「マネーの大和解」です。

ところが、その直後にジョン・ロックが登場し、「銀本位制=商品貨幣論」を理論化します。
「ポンド=一定量の銀」という考え方は、お金の価値を自然で中立なものに見せる魔法でした。

20世紀の金本位制の崩壊(ニクソン・ショック)、そしてリーマンショックを経て、この「貨幣の自然化」の魔法は崩れ、「そもそもお金は政治と制度が作るものだ」という現実が再び露わになります。その事実を素直に見据えているのがMMTということになるでしょう。

政策編:貨幣の政治性を取り戻す

マーティンの主張はシンプルです。

  • 貨幣の価値は、歴史的に見ても常に政治的なルールの結果である
  • ならば、そのルールを民主政治の下で、多数派の利益のために設計し直すべき

具体的には、

  • 極端な格差を是正するために、制御されたインフレでお金持ちが持つ債権の実質価値を下げる
  • 銀行を
    • 決済・預金だけを扱う「安全な銀行」
    • リスクをとるが救済されない「投資銀行」
    • に分ける(フィッシャーの100%マネー案)
      といったアイデアを紹介します。

要するに、「金融機関の利益だけ守られ、損失は納税者」が今の構図であり、それを防止しろという提案です。

この本から何を持ち帰るべきか

無理やりまとめると、この本から得られるメッセージは次の3つです。

  1. お金はモノではなく、社会が共有する「信用のルール」だ
  2. そのルールを決めてきたのは、国家と銀行という権力、そして政治である
  3. だからこそ、格差や金融危機を放置するかどうかも、政治的な選択で決まる

MMTや積極財政に関心がある人にとって、『21世紀の貨幣論』は、
「なぜお金の議論がここまで政治的で、利害対立を避けられないのか」を理解するための必読書と言えます。


こちらの記事はAIを活用して以下の記事を要約したものです。より詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

送信中です

×

※コメントは最大500文字、5回まで送信できます

送信中です送信しました!
「ほんとうの経済の話」を広めることが日本と世界をよくする第一歩です。ぜひ拡散にご協力ください。
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次