現代のお金である「円」は、コメやゴールドのようなモノではなく、銀行の負債として帳簿の上に現れる情報です。ここでは、「【決定版】MMT(現代貨幣理論)のお金の仕組みを会計的に完全解説」で展開した会計ベースのMMT解説を、完読できる三分版としてまとめます。
目次
お金はこう生まれる:二階建ての「円」
- まず日銀が、民間銀行の借用証書を資産として受け取り、日銀当座預金を負債として発行する。
→ これが「マネタリーベース(日銀の負債としての円)」。 - 次に民間銀行が、企業や家計の借用証書を資産として受け取り、銀行預金を負債として発行する。
→ これが私たちがふだん使う「マネーストック(民間銀行の負債としての円)」。 - 現金(紙幣)は
- 日銀の負債という意味でマネタリーベース
- 銀行預金の引き出しとして私たちが使うという意味でマネーストック
を同時に兼ねる「ベース・ストック二重性」をもつ特別な存在。
マネタリー・サーキット:お金が経済を回す仕組み
- 企業が銀行からお金を借りる(信用創造で銀行預金が発生)。
- そのお金で人を雇い、生産を行い、賃金が家計に支払われる。
- 家計が賃金を使って商品やサービスを買うと、企業の売上となる。
- 企業はその売上から借金を返済し、銀行預金(お金)は消えていき、商品やサービスが残る。
ポイント:
- 社会全体の「富」が増えるのは、新しい財・サービスが生産された瞬間だけ。
借金の発生と返済は「資産と負債」が同時に増減するだけで、純資産を増やさない。 - しかし実際には、銀行利子・企業利益・家計の貯蓄が欲しいので、最初の借金額では足りず、常に新しい借金=新しいお金が必要になる。
→ これが「債務貨幣システムのネズミ講的構造」であり、資本主義が拡大・成長を前提にせざるを得ない根本理由の一つだと位置づけられる。
政府財政:政府支出・徴税・国債・金融政策を一枚でつなぐ
政府は民間銀行に口座を持たず、日銀の「政府預金口座」だけを使う。
- 政府支出
- 日銀内部で「政府預金 → 民間銀行の当座預金」に振替が起こる。
- 同時に、民間銀行の負債として「企業・家計の銀行預金」が新しく生まれる。
→ 政府支出=マネーストックの創造。
- 徴税
- 民間の銀行預金が消える。
- それに対応して、日銀当座預金が民間銀行から政府預金へと振り替わる。
→ 徴税=マネーストックの消滅。
- 国債発行
- 日銀当座預金でしか買えないため、実際には
- 銀行が日銀当座預金で国債を買う
- 政府はそのぶん政府預金を得る
- その政府預金で支出し、民間の銀行預金が増える
という流れ。
→ 銀行貸出とは別ルートの「事実上の信用創造」として、マネーストックを増やす。
- 日銀当座預金でしか買えないため、実際には
- 民間が国債を買う場合
- 国債購入時に民間の銀行預金が減り、国債という資産に形を変える。
→ 政府支出によるインフレ圧力を一時的に吸収する「購買力のプール」。
- 国債購入時に民間の銀行預金が減り、国債という資産に形を変える。
- 金融政策
- 日銀は、国債の売買(買いオペ・売りオペ)や、日銀当座預金への付利を通じて、
日銀当座預金の量や金利をコントロールし、市中金利に影響を与える。 - 量的緩和は日銀当座預金を増やすが、それだけではマネーストックは必ずしも増えない。
- 日銀は、国債の売買(買いオペ・売りオペ)や、日銀当座預金への付利を通じて、
国債は「家計の借金」ではない:MMT的な結論
- 国債は日銀当座預金(政府が最終的に発行するお金)でしか買えない。
- 自国通貨建て国債を発行する政府は、その通貨の発行主体でもある。
したがって、MMTの立場からは:
- 国債を返すための「お金そのもの」を政府・日銀が作れる以上、
家計のローンのような意味での「返せなくて破綻」は本質的に起こりえない。 - 真の制約は「インフレ率」「供給能力」であり、財政赤字の大小そのものではない。
元記事の会計的図解の意義
元記事の会計図解は、以下のようなこと一望できる枠組みです。
- 「政府も家計と同じく倹約せよ」という常識が、マネタリーベースとマネーストックの二重構造を無視した誤解であること。
- 政府支出・徴税・国債・金融政策が、一つの帳簿の中でどう連結しているか。
- そして、債務貨幣システムがなぜ「成長なしには安定しにくい」のかという、より大きな資本主義論への入り口。
より詳細な図解と引用は、元の決定版記事でじっくり解説しています。
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