【３分】「豊かさゆえの貧困」から出発する「21世紀の政治経済学」

2025年12月5日

歴史：私たちは「資本主義の先祖返り」を生きている

現在の世界経済は、1970年以降のグローバリゼーションにより、かつての「初期資本主義」へと先祖返りしています。かつて先進国には分厚い中間層が存在しましたが、新興国への工場移転によって先進国で労働力が余剰となり、中間層は解体されつつあります。これは、供給能力は高いのに、それを買う人々（需要）が不足するという、1929年の世界恐慌前夜に似た危険な状況です。

経済理論：「お金を使わない」ことが最大の問題

主流派経済学は「モノが足りない（希少性）」を前提にしていますが、現代の先進国は「モノは余っていて、需要がない」状態です。

小野理論（消費不足）： 豊かな社会では人々の消費欲求が飽和気味となり、人々は「お金を使う喜び」より「お金を持つ喜び・安心」を優先するため、消費が増えません。
クー理論（投資不足）： 企業は海外投資や借金返済を優先し、国内で投資を増やしません。

その結果、「豊かさゆえの貧困（供給過剰による失業・低賃金）」というパラドックスが生まれています。

政策：MMTとベーシックインカム（BI）が唯一の解

この「需要不足」を解決できるのは政府だけです。

MMT（現代貨幣理論）： 政府は通貨を発行できるため、財源の制約はありません。制約となるのは「供給能力（モノやサービスの限界）」だけです。
ベーシックインカム（BI）： 余りある供給力に応じて人々にお金を配り、人々の生存を保証します。そうして無理な労働供給を減らしつつ、供給に対応する需要を創出します。

政治：右派ポピュリズムを「ハック」するくらいしか希望はない、のか？

既存のエリートは古い経済学に固執しており、頼りになりません。一方で台頭する「右派ポピュリズム」は、ある種の危険は孕んでいますが、日本ではMMT的な財政政策と親和性が高いという特徴があります。この流れを利用し、排外主義的な側面を「国内の需要不足さえ解消すれば、外国（人）を敵視する必要はない」という事実で内側から変えていく戦略（カウンター・カウンターエリート戦略）くらいにしか、もはや希望はないのかもしれません。

思想：新自由主義を超えて

現代は「消費社会（ポストモダン）」が「新自由主義（競争という規律）」によって殺された時代です。私たちは、人間を利己的な存在とみなし、結果として市場競争にのみ道徳性の根拠を見出す経済学的想定を乗り越え、道徳的な主体として人間主体を再発見し、それを再活性化する必要があります。そうしないかぎり、「市場競争の弛緩＝道徳崩壊」という不安が人々を新自由主義に向かわせた、1970年代の新自由主義的反動の勝利が再演されつづけることになるでしょう。

こちらの記事はAIを活用して以下の記事を要約したものです。より詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。